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オリオスペック 2006年11月11日掲載

■はじめに

最近、マルチレーン(Multilane)に関する質問が増えてまいりました。マルチレーンに対応する製品が増えてきたことと、HD(High Definition)映像編集、デジタル写真のRAWデータ等、大容量・高速を必要とするお客様が増えてきていることもあります。
また、マルチレーン誕生のきっかけであるサーバー用途での需要もSAS(Serial Attached SCSI:シリアル アタッチド スカジー)普及に伴い、急速に増えています。

オリオスペックで取扱の多いDAS(Direct Attached Storage:ダイレクト アタッチ ストレージ、パソコンなどのホストに直接ハードディスクケースを接続) を中心にご紹介と説明をさせていただきたいと思います。

■マルチレーンって何?

ケーブルとコネクタ、接続方法の呼称です。弊社では4レーン(x4と表記されることが多い)のものが多いですが、その他にも1レーン(x1)や12レーン(x12)などありますが、ハードディスクケースとの接続にはあまり使用されていないようです。

SAS/SATAのハードディスクケースと、パソコンに搭載されたSAS/SATAインターフェイス カードとの接続に使用しています。4レーンのマルチレーンケーブルを使用するので、eSATAやSATAケーブル4本を1本にまとめたケーブルと考えてください。



マルチレーンは4本のケーブルをまとめたもの

ML-eSATA変換ケーブル マルチレーンの説明にはわかりやすいケーブルですね

実際のマルチレーン製品はこんな感じです

AMCC 3ware Sidecar
写真のマルチレーンは外付け規格のものです。後述しますが、内蔵用のものもあります。

マルチレーンの発端は「Infiniband」。インテル社が中心となってHPCサーバ(High Performance Computing Server)の為に作られた規格です。実際のSAS/SATAのマルチレーン規格は、SASの規格団体を中心に作られているようです。

結局のところ、マルチレーン ケーブルは4本のケーブルを束にするだけのものなので、これだけでは大容量・高速化にはなりません。4台のハードディスクを接続したとしても、それぞれのハードディスクが認識されるだけです。
この後、ご紹介するRAIDカード等と組み合わせることにより、大容量・高速化を実現させるのです。

■長所・短所

質問で一番多いのは、大方の予想通り
「ポートマルチプライヤとマルチレーンはどう違うの?」
でございます。

ポートマルチプライヤも1本のeSATAケーブルを用いて、ホストとデバイスを接続するという意味では大差ありません。
ポートマルチプライヤは最大5台のハードディスクのSATAを電気的に多重化するため、ホストとデバイス両方に変換機能を必要とします。SATAの信号を電気的に変換するために、転送速度の低下が出ます。弊社のテストでは20〜30%の転送速度低下がみられます。
対して、マルチレーンでの接続は電気的な変換をせずに、SATAの信号をそのまま使用するので転送速度の低下はありません。

システムとして見た時に、コストパフォーマンスの差があるので優劣はつけがたいですが、ハードディスクの能力を余すところ無く発揮することができるのがマルチレーンです。

PM-ML比較
 
ポートマルチプライヤ
マルチレーン
高速化
大容量
冗長性
コスト


高速化
ハイビジョン ビデオ編集では、165MB/秒以上の安定した転送速度を求めるものもあります。オリオスペックで好評発売中の「STARDOM ST6600-5S-S2」等は、ポートマルチプライヤ対応ケースの代表格。PCI-XやPCI Expres x4以上のインターフェイスカード、HDD5台との組み合わせで、RAID0(ストライピング)読み書きとも180MB/秒以上の転送速度が可能です。
マルチレーンの場合も同様にPCI-XやPCI Expres x4以上のインターフェイスカード、HDD4台でシステムを構築した場合は200MB/秒以上の転送速度が可能。


ポートマルチプライヤ HDD5台
Hitachi HDT722525DLA380

マルチレーン HDD4台
Maxtor 6V250
AJA KONA System Test 1920×1080 10bit


大容量
1枚のSAS/SATAカードを用いて、何台のハードディスクを接続できるか?と、言う意味ですが、どちらも多くのハードディスクを認識させることが可能です。
ポートマルチプライヤの場合は、ひとつのeSATAポートに対して5台。4ポートならHDD20台の認識が可能です。マルチレーンの場合は24ポート、HDD24台まで認識可能製品が登場しています。
少し趣が変わるのはSASの場合。 SAS Expanderを用いることで数珠繋ぎに100台以上のHDDを認識させることができます。
オリオスペックで販売しているSATAカードには16ポートの製品もあり、4段、もしくは、8段のハードディスクケースと組み合わせることで10TBを超えるストレージシステムの構築も可能です。

冗長性
主にRAID1(ミラーリング)やRAID5/6を用いることで、データの安全性を高めることができます。
ポートマルチプライヤでは、ソフトウエアRAIDに対応した製品が中心ですが、マルチレーンはハードウエアRAIDカードが中心となります。
冗長性では圧倒的にマルチレーン製品が優位となります。最近では2台のドライブが故障しても運用を継続できるRAID6対応RAIDカードも登場しています。

コスト
システム内容によるのですが、高速・大容量だけを求めるのであればポートマルチプライヤが有利です。

250GB HDD、HDDケース、インターフェイスカードでシステムを組んだときの試算です。
 
ポートマルチプライヤ
マルチレーン
ケース台数
1/2/4台
1/2/4台
HDD台数
5/10/20台
4/8/16台
総HDD容量
1.25/2.5/5TB
1/2/4TB
コスト
約12/25/48万円
約14/25/51万
もっと安価なシステムもできるのですが、リムーバブル外付けHDDケース。マルチレーンはRAIDカードを使用しています。
外付けHDDケース台数で比較すると価格差は少なく、総HDD容量で考えると、マルチレーンの方が3割ほど高くなります。

その他
ハードウェアRAIDを用いたマルチレーン接続の場合は、RAID BIOSやユーティリティ(ブラウザを用いる場合もあり)を使用してセッティングを行います。初めて搭載するHDDは一度認識させてやる必要があるなど、少し作業が多いです。慣れると気にならないのですが、最初は戸惑うかもしれません。
RAIDカードに関しましては残念ながら日本語ローカライズされているものは少なく、初心者にはとっつきにくい感じがします。ローカライズされていない製品に関しましては、日本語マニュアルの添付を要求しており、少しずつ増えてきてはおりますが、まだまだ少ないのが現状です。
しかしながら、高価な多機能RAIDカードでも追い込んだ設定をしない限りは、すぐに理解できるものと思われます。
オリオスペックでは国内メーカーや国内正規代理店の製品を販売しており、万が一の故障やサポートも安心です。

マルチレーンは、接続コネクタの抜けにくさも魅力です。コネクタの規格は多いのですが、いずれもラッチや手回しネジでの固定します。SATAの外付け規格であるeSATAの場合は、抜き差しを前提としているためにラッチ機構などがありません。外付けケースを移動させたり、電源操作時にケーブルを抜いてしまうなどの不安要素があります。

左からネジ、ラッチ、MINI SAS

■用途

オリオスペックでは圧倒的に非圧縮HD映像編集用途のお客様が多く、ポートマルチプライヤ システムの約8割が映像編集になります。OS別ではMac7割、Windows2割、残りがLinux等です。
マルチレーンの実績では、半数がサーバーのストレージ増設。3割が映像(動画・静止画)でしょうか?
OSは、UNIX等のサーバ用OS、Mac、Windows等が均等な感じです。

意外にもeSATA単独接続で多かったDTP用途のお客様の比率が少ないのですが、外付けハードウエアRAIDケースやNAS(RAID5)をご購入されることが多く、sSATA、FireWire(IEEE1394)、SCSIと、接続形式は多岐にわたります。

元々、大規模サーバー用のシステムから発展したものなので、サーバー用のストレージが最も多いと思われますが、価格もこなれてきたのでWindowsやMacなどでも多く利用いただきたいと思っております。

オススメ用途
HDノンリニア編集
取り回しの良さではポートマルチプライヤに一歩譲るものの、ハードな利用に耐え得るHDD8台 RAID5での運用はいかがですか?
RAID5の場合は、パリティーデータを持ち合うので、1台のHDD故障により転送速度が極端に低下します。2組のRAID5をストライピングすることにより、HDD故障による転送速度の低下防止とデータ保護を実現するRAID50も選択肢でしょうか。
運用可能なHDD容量は減りますが、RAID10/60でもいいですね。実際にはHDDが一台でも故障した状態での運用は難しいので、RAID5がお勧めです。
最近まで、映像編集用のストレージと言えば、2TBになると100万円を超えるものばかりでしたが、バランスの良いチョイスをすると25万円程度から可能です。
もちろん高額なストレージ製品には、高額なりの付加価値がありますが、高速・大容量を享受するためにはスタンドアロンとサーバ・クライアントの併用が理想的です。スタンドアロン1台に50〜100万円オーバーのストレージ製品を使用するのはコストメリットが薄くなりいます。メリハリをつけたシステム構築をお勧めいたします。

デジタルフォト
1.6ギガ 一眼デジカメをはじめ、コンパクトデジカメでも600万画素以上が標準的なスペックになっているようです。メーカーや記録方式により差がありますが、1000万画素デジカメの記憶容量は、RAW 約10MB、JPEG 約4MB。アマチュアの方でも日に100枚以上撮影することはザラにあるようなので、データの保存にマルチレーンのシステムは最適です。
HDD4台。RAID5で1TBのシステムを構築。RAWとJPEG同時保存でも約5万枚分の保存が可能です。200MB/秒の高速転送が可能なので、読み出しや書き込みも高速で行えます。
HDDリムーバブル方式のものが多いので、HDDと予備トレイを用意していただければ、保存容量は無限に広がります。

ビデオサーバー
最近多いのがビデオサーバー用途。NAS製品も人気なのですが、パソコンをサーバーにしてリムーバブルHDDをビデオカセット代わりに使用します。
テレビやビデオにはLAN経由でHDD記録できる製品が増えており、静かなPCとリムーバブルHDDケースとの組み合わせも魅力的ですね。
この場合はRAIDカードではなく、SATAカードから変換デバイスを用いてマルチレーン接続となります。現行のマザーボードは標準でSATAポートを6個装備されるものが多いのですが、ホットスワップ対応表記した安価なSATAカードが人気です。
RAIDの場合は転送速度の都合上、PCI-XやPCI Express x4以上を要求しますが、ビデオサーバーの場合はHDDを個別に使用するのでPCIカードタイプで十分です。
あるお客様は、4段のリムーバブルHDDを「お父さん」「お母さん」「息子」「娘」で使い分けているとおっしゃっていました。一つのHDDに録画すると、消した消さないのケンカになってしまうそうで、それぞれのHDDは個人で管理するそうです。面白いアイデアですね。

その他
どうしてもファイルサーバーやマルチメディア等の大容量ファイルを扱う用途が多くなってしまいますが、重要なデータ保存には最適なソリューションです。
業務等のご利用でも、基幹サーバ以外の部門サーバーのバックアップ用としてご利用いただいているケースもございます。スナップショット機能を利用して、素早い障害復旧に役立ちます。
RAIDはハードディスクの故障に対応しつつ、高速データ転送を実現させるRAID5/6/10等を有効に使用していただきたいと思います。冗長性に関しては過信は禁物なので、バックアップもお忘れなく。




 
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