「パソコンはニガテです」と仰るPCオーディオマニアさんにお送りしたい、”USB3.0″ のお話

STAFF :  S弐号

昨年度にお送りしました、iFi AudioさんとAcoustic ReviveさんのUSB3.0対応ケーブル&アクセサリー試聴イベントに関連しまして、『PCオーディオに特化して考えるUSB規格の現状』のお話を。

 

『パソコンは苦手なんだよねー』とか『USB3.0の話を調べたんだけど、PCオーディオに直接関係する記事は少ないんだよね』と言う皆様に向けたものにしたいと考えております。ですので、パソコン視点では無いですし、出来るだけ平易な話を軸にしますので、お詳しい方には物足りないかもしれませんがご容赦のほどを。

 

 

▽そもそも知っておいたほうがよい話

 

まだ数は少ないのですが、iFi audioさんやAcoustic Reviveさんを筆頭にオーディオ向のUSB3.0ケーブルが登場してきたワケです。(これとかこれとかこのあたり)またかなり以前からそうなのですが、ノートパソコンのUSB出力の仕様は既にUSB3.0だけ、などと言うモデルも多数存在しております。

 

そんな状況をつい見てしまいますと、「USB3.0のケーブルってちょっと興味あるんだよなー」なんてお気持ちになるオーディオマニアさんのお気持ち、大変よく理解致します。で、ここでまず知っておくべきことをご案内致したく。

 

『USB3.0のBタイププラグ(♂)とUSB2.0のBタイププラグ(♂)の形状は異なっています。USB2.0 Bタイプの機器側ソケット(♀)にはUSB3.0のBタイププラグ(♂)が挿さらないのです』

 

PCオーディオ視点、特にUSBDACに焦点を当ててみますと、このコネクター部の大半はUSB2.0 Bタイプのソケット(♀)が搭載されています。ここにUSB3.0のBタイププラグ(♂)のケーブルを挿そうとすると、似てるんだけど形が違うので挿さらないのです。ですので、USB2.0とUSB3.0のケーブルって量販店さんではしっかりと売り場が分けられていますし、パッケージにも数字がハッキリ書かれて識別できるようになっています。なのに、パソコン側で使っているUSB2.0と3.0のAタイプは黒と青に色分けされているだけで、実はどっちも同じ形状なんですよ。故にパソコン側は意識せずとも挿さってしまうものですから、対向機器側に使うべきUSB3.0のBタイププラグ(♂)がUSBのソケット(♀)で共用接続出来ない事って、気が付いていない方、案外といらっしゃいます。買っても使えないんじゃ泣くに泣けませんので、どうぞお気をつけください。(ちなみに、USB3.0 Bタイプのソケット(♀)には、USB2.0ケーブルのBタイププラグ(♂)が挿せるようになっているんです。逆はOKなんてヤヤコシイったらこの上ありません)

 

書いていてもアタマがとっちらかりそうです。挿せる組み合わせは、以下のマトリクスでザックリとご参照ください。。そうそう、転送スピードや電力供給などUSB3.0規格上のフルスペックを満たしたい場合は、「出力ポート」「入力ポート」「ケーブル」のすべてでUSB3.0に準拠する必要があります。ナナメの流れは挿せてもこの条件に合いませんし、下の流れも出力ポートがUSB2.0の場合はこの条件に合いません。この点、外付HDDや光学ドライブには関わってくる話ですので、ちょいとご留意ください。

 

 

<左 : USB3.0のBタイププラグ(♂) / 右:USB2.0のBタイププラグ(♂)>

※形状が違います。USB3.0の方はUSB2.0のアタマに帽子を被せた感じですね。

 

<左 : USB3.0のAタイププラグ(♂) / 右:USB2.0のAタイププラグ(♂)>

※色が違うだけで形状は同じ。USB2.0であろうがUSB3.0であろうがPC側にはどっちももれなく挿せてしまうのです。

※USB3.0対応の外付HDDや光学ドライブをフルスペックで使う時には、PC側の出力ポートの仕様をしっかり把握する必要があります。

 

 

「挿せないのならば、Bタイプの変換コネクターを使えばいいのでは?」というご意見もあるのでしょう。USB3.0 Bタイプのソケット(♀)⇒ USB2.0のBタイププラグ(♂)への変換コネクターって、実は市中でほとんど見かけた事が無いのです。なぜだか定かではないのですが。唯一認識しているのが、iFi Audio iPurifier2 B-typeです。万一変換が必要になったときはこの導入を検討してみてください。単なる変換用途に使用するのはちょっと勿体無いのですけどね。ただ、USB信号のバッファ的役割を果たしたり、DCオフセットを修正するなど、オーディオ向けのUSBインターフェイスのケアには大変有用なアクセサリーと思われます。

 

< iFi audio iPurifier2 Bタイプ >

 

 

▽現時点のUSBDACを見ると、何故USB2.0のソケット(♀)が主流のままなのか?

 

平たく言ってしまいますと、現状存在しているハイレゾ・DSDの2チャンネルデータをUSBのパケットストリーミングで送ろうとすると、必要とされる帯域がUSB2.0の仕様で事足りるからなのでしょう。またその現実があるから故に、DAC側のUSBパケットのレシーバー部がUSB2.0ベースで作られており、またそのソケット(♀)もUSB2.0 Bタイプという事実につながるのだと。このソケット(♀)形状がUSB3.0 BタイプとなっていてUSBDACとしては大変珍しい仕様の iFi audio製DACでさえ、その内部の実態はUSB2.0で動いているのだそう。(注:iFi audio製USB3.0対応アクセサリーについてはしっかりUSB3.0で動作しています)

 

そんな現実を踏まえると、単にPCとUSBDACを直接結線するだけのシンプルな構成を採るのであれば、この間の結線にUSB3.0のケーブルを使用する必要は特段無いと言えましょう。

 

<左:iFi audio nano iONE / 右:一般的なUSBDACの例 >

※一般的なUSBDACのUSB2.0 Bタイプのソケット(♀)にはUSB3.0のBタイププラグ(♂)が接続出来ません

※前項の通り、nano iONEのUSB3.0 Bタイプのソケット(♀)にはUSB2.0のBタイププラグ(♂)も接続可能です

 

 

▽では、PCオーディオにUSB3.0は意味がないものなのか?

 

USBの仕様は、様々なメーカーや製品をシームレスに接続出来るという意味で合理性や可用性を重視した大変よく出来た規格なのです。が、コンピュータ向の多用途な規格であるが故、これをオーディオ的視点で見るとケアしたくなる要素も散見されるわけです。ここ数年、そんなところに目を付けユーザーに便宜を図ろうするアクセサリーが多数リリースされておるのはご承知の通りかと。その流れの中においても前項の理由からUSB2.0ベースのケアアクセサリーがほとんどであったと言えます。

 

しかしながら、この状況の枠にはとても収まらない製品がここ最近リリースされたわけです。それが、iFi audio iGalvanic3.0。この製品、広帯域で高速なUSBインターフェイス間のシグナルラインと電源ラインを、あえてトランスでアイソレーションし”入力と出力を完全絶縁”しようとするもの。パッシブにしろアクティブにしろ、これまで様々なベンダーで採用されてきたフィルタリングの手法とは技術的な指向が変わっています。しかも、iFi audio iGalvanic3.0はUSB3.0に完全準拠した設計であるとのこと。これをUSB3.0の仕様で実現するとなりますので、言うは易くもそう簡単にはいかないと言われております。高速な点だけでなく、PC側でのUSBDAC認識には大半のDACがDCバスを使用する状況から、それゆえの認識不全のリスクを鑑みると、その難易度は想像を絶する観です。

 

これらの動作を実現するために、超高速処理出来る自社開発トランスの採用以外においても様々な回路上の工夫があるようなんですが、それ故に大変大きな電力を消費するとされる iGalvanic3.0。驚くことにバスパワー動作なのです。「え?」って思いますよね。踏まえ、これを安定的に動作させるためには満たすべきいくつかの重要なポイントがあるのですが、まず最初に満たすべき点は、USBバスパワーでiGalvanic3.0に対して必要にして十分な電力量を供給してやる事が挙げられます。(同じくUSB3.0完全準拠を謳いつつも、セルフパワー動作である同社製 micro iUSB3.0nano iUSB3.0とはその点で持ちうるカラーが異なるのです)

 

そこでUSB3.0のインターフェイス規格がモノを言います。USB3.0とUSB2.0の差異は、単に帯域が広い狭いか?より高速か?だけではありません。電力の供給量にも大きな違いがあるのです。これらを物理的に実現するため、ケーブル内の芯線数やコネクターの接点数が変わっています。芯線数や接点数の変更は、前述のコネクター形状の差異として現れるわけです。その点を踏まえて、この新たなアプローチでUSBインターフェイスをオーディオ的にケアせんとするアクセサリーは、PC側のUSB3.0ポートから出力、且つ、USB3.0準拠のケーブルで結線し、十分な電力を供給する配慮をもって、はじめて安定動作に向けた取っ掛かりが出来ると言えます。なお、USB3.0のポート出力でもUSB2.0準拠のケーブルではこの条件を満たせませんし、USB3.0準拠のケーブルでもUSB2.0ポート出力であった場合は当然に満たせません。

 

<参考リンク:USB3.0とUSB2.0の仕様比較(ルネサスさんのサイト)>

 

これまで登場したPCオーディオ機器を全般的に見ますと、PC側の出力ポートにしても、結線するUSBケーブルにしても、ほとんど規格差を意識する事は無くて常にUSB2.0一択であったと思うのです。が、前述を踏まえますと、オーディオアクセサリーの中にも「USB3.0下での動作が前提」とも解せる製品が登場した事は、PCオーディオの分野がハードウェア的に見るとターニングポイントに差し掛かったのだ、と評せましょう。

 

< iFi audio nano iGalvanic3.0>

※安定動作の実現には、必要にして十分な電力を供給するUSB3.0接続に加えて、レンダラー側バッファのパラメータチューンが必須

 

 

▽パソコン側の事情と周辺機器の状況

 

ノートパソコンのUSBポートを見ますと、既にUSB3.0のみ搭載のモデルが増えました。USB2.0が合わせて搭載されていたとしてもそのポート数は少ないです。周辺機器に目を移しますと、いまやストレージも光学ドライブも外付けモデルはUSB3.0仕様ばかり。高精度なリッピングを望まれるオーディオマニアの皆さんに人気の高い、Pure Read4+対応 PIONEER Blurayドライブ “BDR-S11J-X” と RATOC製ドライブ用ケース “RS-EC5-U3AI” の組み合わせ、またこれもUSB3.0仕様になります。

 

< OLIOSPECオリジナル仕様 RP-EC5U3AI-S11X >

 

帯域の広さにより転送スピードを高めているUSB3.0での接続は、安定度も含めて、これらが持ちうる本来のポテンシャルを活かす事に繋がります。外付のHDDやSSDに格納した音源ファイルを再生しているユーザーさんには、データ転送時のレイテンシ発生がナーバスな問題と成り得ますので、特に当てはまるでありましょう。物理上、USB3.0はUSB2.0と比較して、シグナルラインの芯線数や極数すら異なるわけです。従ってその仕様上の恩恵を得るために必要となるのは、USB3.0ポートへの接続、そしてUSB3.0準拠のケーブルの利用であることは言うまでもありません。

 

 

▽オーディオに関わる広帯域のUSB3.0規格を見据えて

 

とあるオーディオメーカーの技術者さんと、iGalvanic3.0の仕様について考察しておった折のお話をここで。iGalvanic3.0の特徴である、広帯域の通信をトランスで絶縁することの難しさに対して特に関心を向けられておったのが印象的でした。「超高速な独特のトランスを介する点に注目すると、このモデルはUSB3,0接続を前提に設計してきてるんじゃないかな。トランスはインピーダンスやインダクタンスの影響が大きくて、その違いはリンギングの波形なんかに現れると思うよ。特に周波数帯域が高くなれば尚更なんじゃないか」

 

これを平たく言い換えますと、「特徴的な仕様を持つトランスとのマッチングを考えて、その結線に利用するケーブルもiGalvanic3.0の設計思想に合わせた電気的特性のもの、つまりはUSB3.0ポートからのコネクションで、且つ、USB3.0準拠のケーブルを選択するほうが動作観点からも好ましいのではないか」というお話なのでした。

 

PC側のUSBポートは既にUSB3.0が主流である以上、今後この手のUSB3.0規格の仕様をフル活用するオーディオアクセサリーが徐々に登場してくるものと想像されます。その動きに連動する形で、外付ストレージや光学ドライブ向けの接続状況と同様、オーディオアクセサリー分野においてもUSB3.0準拠ケーブルが活躍できる機会は徐々に増える事になろう、と思われるのです。

 

 

▽最後に

 

PCオーディオの現状を鑑みますと、導入すべきUSBケーブルの選択は、接続するハードウェアがUSB3.0に特化したコネクターや性質を持った仕様であるかどうかを基準として判断すればよい、との解釈で宜しいと思います。つまり、「新しい規格のケーブルだからきっとよくなっているのだろう」という単純な判断軸でもありませんし、ハードウェアの仕様要件によってはUSB2.0準拠のケーブルでなんら不足はないわけですから、「うちのは古いのかな?」と不安など覚える必要もないわけです。急かされる様に最新規格に拘って導入を図らずとも、適材適所でケーブルの種別を選択することに心掛けて頂ければ、今はきっとよいご選択が出来るものと思います。

 

PC関連機器と統合が進むピュアオーディオですが、この流れは「単に音がいいわるい」の観点だけでは量かり切れない状況に至ったことを感じさせるのです。機器の選択だけでなく、物理構成やそれを構成する要素をも含めた理解をもってシステムを構築せねばならない時代に入ったこと、認識するに至ります。オーディオマニア向のPCオーディオ機器のポテンシャルを十分に活かそうとすると、単に評判の良さそうなケーブルを使いハードウェアを接続するだけで完結する様な状況では無くなった、という意味合いですね。

 

「新次元のサウンドがPCオーディオやネットワークオーディオで簡単に実現出来ます」として、各方面から兎角煽られがちなPCオーディオの世界なのです。が、上記のような点を考慮しますと、オーディオマニア分野においてはなかなか深い領域に入り込んで来た事を思い知らされます。単なるPC関連の知識だけでは網羅し切れなくなった点、逆に従来のオーディオ的知識や電気的認識が存分に活かされる点を鑑みますと、それ故に「PCオーディオは上っ面だけでは留まりようのない面白さが出てきたんだな」と感じておるのもまた事実でございます。

 

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