2026.3.15(日)に開催しました、「交響詩ウルトラマン/ウルトラセブン」リリース記念トーク&リスニングイベントのレポート記事が主要オーディオ媒体のwebメディアに掲載されました。この度は三つの媒体にイベント当日の模様を取材いただいておりますが、各社、多様な切り口でレポートされております。取材記事を執筆されたライターの方々は奇しくも本作品とその背景に精通されており、加えてオーディオ分野と音楽制作の分野についても専門媒体ならではの深い知見をお持ちです。当日ご参加いただけなかった皆さまも、ご参加いただいた皆さまも是非お楽しみください。
【AV Watch】
700万円超のオーディオで楽しむ「交響詩ウルトラマン/ウルトラセブン」SACD。オリオスペックイベントレポート
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/2093666.html
【Stereo Sound ONLINE】
『交響詩ウルトラマン/ウルトラセブン』は、オーディオ鑑賞でも楽しめる品質を備えていた! 秋葉原のオリオスペックで、「劇伴✕ハイエンド機器」試聴会を開催
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17829961
【PHILEWEB】
現代に蘇った“ウルトラセブン”を徹底聴き比べ!特撮&オーディオファン歓喜のイベントレポート
https://www.phileweb.com/news/audio/202604/01/27453.html

参考までに、本イベントでの試聴機器とご協力いただいたベンダー各社についてご案内いたします。
この度の試聴用ハードウェアは以下のオーディオメーカー各社のご協力を得て構築しております。また本番向けのセッティングは、SOULNOTE様の知見も頂きながら詳細を検討いたしました。合わせて、サブスクリプションサービスベンダーのQobuz様にご協力いただき、ハイレゾ配信サービスの特長や仕様をご参加の皆さまにご紹介しております。この場を借りまして、この度の各社のご支援に心よりお礼申し上げる次第です。
【イベント当日の試聴機材一覧】(★は事前予告から変更された機材)
AMP: SOULNOTE A-2 ver.2
SACD/CD PLAYER & DAC: SOULNOTE S-3 ver.2 Reference
ZERO LINK TRANSPORT: SOULNOTE B-3
PHONO EQ: SOULNOTE E-2 ver.2 ★
SPEAKER: TAD EVOLUTION TWO (TAD-E2-WN)
ANALOG PLAYER: Technics SL-1200G ★
CARTRIDGE: Phasemation PP-200
HEADSHELL: Phasemation CS-900A
AUDIO PC: OLIOSPEC CANARINO FILS9
POWER SUPPLY UNIT: OLIOSPEC CANARINO DC POWER SUPPLY 12V (2set)

<以下、企画担当者より試聴用オーディオシステムに関連したこぼれ話を。媒体レポートで詳しく記されていない裏話的な内容です>
▼この作品の「不易流行」を映し出すため、オーディオは何ができるのだろうか
1979年にアナログレコードでリリースされたタイトルが2025年末にリマスタリングを経て再発されたことを踏まえて、「過去と今」について同じ作品からサウンドで俯瞰できるようオーディオシステムでアレンジを試みること。本イベント実現に際して、これはオーディオ側企画担当者が向き合うべきテーマとなりました。
またデジタルリイシューによる2025年度作品は、旧来の物理メディアだけでなく、メディアレスなハイレゾダウンロードファイル、加えてサブスクリプションサービスによるロスレス配信やハイレゾ配信についても当然ながら網羅されており、“令和なればこそのメディア展開”がなされています。「不易流行」という言葉が示すように、長きにわたって愛され続けるものはその本質を変えることなく新しい時代の社会性にも適応して次の時代へとクロスオーバーしていく。文化的創造物たる「変わることのない本質」と「時代への適合」を、音楽作品とその流通チャネル、そしてオーディオを通じ炙り出してみたい。密かに抱える想いをなんとか具現化すべく、アタマを捻りながら企画を練り上げていきました。
▼イメージするサウンドは「折り目正しく」「かっこよく」
この作品を最初に耳にして咄嗟にアタマに浮かんだこと、このタイトルは「かっこよく」鳴らしたい。具体的に言うなれば「折り目正しい音」で。カップリングされた両作曲者の楽曲は共にキャッチーな音調で構成された耳馴染みのよい曲が並んでおり、なかでもマーチは印象的でした。合わせて、「管楽器の響きが冴える宮内楽曲」と「オーケストラピースを強く意識したかのような冬木楽曲」、双方の個性差についても詳らかにさせたい。そんな「ある種の直感」に従ってハードウェアを検討した結果が、この度成すに至ったシステムです。
▼基盤となるサウンドは、信頼に足るスピーカーとドライブ能力に長けたアンプであればこそ
メディア毎のサウンド基調の違いを様々な属性の皆さんにご認識いただく必要があるのですから、まず分析的な試聴に耐えられる描写を有すること。そして、(一般視聴者向けイベントである以上)楽しさが伝わる音楽的な表現力も兼ね備えねばならない。このふたつの特性はサウンドのベクトルが異なるので、実際にオーディオシステムにおいて双方を満たそうとすると ご承知のとおりなかなかな悩みどころになるのです。
弊社イベントでの経験から、この点で信頼に足る構成に目星を付けることができました。強靭なユニットとエンクロージャーでモニター気質と音楽的表現力を兼ね備えたスピーカー TAD TAD-E2-WN。そして、この堅牢なる足回りを自在にハンドリングするのは2025年の後半にお目見えした SOULNOTE A-2 Ver.2。コンシューマオーディオ界隈におけるTAD-E2-WNの評価はすでに確固たるもので、この端正なサウンドを耳にしますとロングランモデルとなった根拠すらも理解に及びます。パートナーとなるSOULNOTEの新世代ミドルレンジアンプ A-2 Ver.2は、従来のとおりパルシブな描写に優れつつ、しなやかな表現にも磨きをかけており、また実質的なスピーカードライブ能力すら向上させた点で、この度のベースユニットの資質を備えたモデルでした。
一般のお客様、そしてリマスタリング担当エンジニア氏を含めたメジャーレーベルの方々を相手にご体感いただくイベントにおいて、エンジニア氏とディレクター氏の双方から「脇で聴いていても素晴らしい音であった。特にリマスターで狙った志向がキチンと表現されている」「現代高級オーディオの技術あっての高い表現力ですね」と手放しの称賛を受けたことは、これらベースユニットがもたらすサウンドクオリティのレベルを如実に示す言葉と思うのです。
▼1979年リリースのオリジナルアナログ盤を現代のアナログ機器でプレイバックする
1979年発売のアナログレコードの再生は、このイベントの基準となるサウンドに当たります。表現を変えますと“当時のレコーディングやマスタリングの状況を窺い知るための重要な役割”を担うわけです。よって、アナログ再生でのハードウェアによる描写力は本企画を通じての「一丁目一番地」でした。合わせて、“あの時代のアナログ盤を令和の時代に再生する”という点も、リスニングの上でけっして軽視できない気がかりな要件でありました。
それらを踏まえて、このアナログセクション、まずは二通りの切り口を考えました。ひとつは、オリジナルの時代に合わせたフロントエンドを用いる手法。もうひとつは、“時代感覚”をあえて無視して現代的なアナログ機器をあてがう手法。熟慮の結果、今回のイベントでは後者の切り口を選択しています。サウンドモニター視点で一定以上の描写と表現力を担保しつつ、オリジナル盤リリース当時のサウンドをご存じの方々(例え記憶の世界であるにしても)をも念頭に、ハードウェアの力量による新鮮な感覚と軽い衝撃を覚えていただけるよう狙ったのです。
では、具体的な機種についてお話しようと思います。使用したターンテーブルは、Technics SL-1200Gです。現代高級DDターンテーブルにおける世界的なベンチマークのひとつであり、質実共に信頼に足る点はアップデートモデルが登場した今となっても変わるわけではありません。往年とは仕組みが大きく異なるフォノモーターや手の込んだキャビネット構造に加えて、素材まで配慮されたアームの精度と感度も申し分なく、今回のアナログプレイバックのセクションは「SL-1200Gのクオリティありき」で考えを巡らせることとなりました。
次いで、カートリッジはPhasemation PP-200。今回の企画が“フルオケによる楽曲”であることから、「サウンドの品格」という観点で真っ先に浮かんだカートリッジです。「高価なモデルを無理して選らばずとも、これほどのクオリティが担保されるのであればそもそも充分なのでは?」と耳にする度に感じていたのもあって、ここはあえてのエントリーモデル。SOULNOTEのフォノイコライザーとのサウンドマッチングも良好であることから、「この度の大役を是非任せてみたい」と考えた次第。なお、カートリッジ本体がこのクオリティですので、シェルの選択も万全を期してPhasemation CS-900Aを。純正ならではのマッチングです。
Phasemationのカートリッジとシェルの合計自重は20gを軽く超える(日本製らしさ溢れた)重量級ですから、SL-1200Gのアームにはエクストラウェイトを要します。今回の場合、大小どちらのエクストラウェイトでもゼロバランスはとれるのですが、カウンターウェイトをよりアームの支点に近づけるため大きなエクストラウェイトを取り付けました。インサイドフォースについては、スタイラスがラインコンタクトである点を考慮しつつ実聴感と相談しながらごくごく軽く掛けています。
フォノイコライザーはPhasemationのMCカートリッジとの良好なサウンドのマリアージュを狙って、SOULNOTEの新製品を選びました。当初は、動電型カートリッジでのサウンドが素晴らしかったE-1 Ver.2を利用する計画だったのです。が、SOULNOTEさんのご厚意により、本番ではその上級機に当たるE-2 Ver.2を使っております。E-2 Ver.2のクオリティに疑念をはさむ余地など無いことから、MCの受けをどうチューンするのか?がここでの鍵となりました。
今回は近年流行のMCバランスで結線、MCの負荷抵抗値は300Ωとして聴感から選択しました。この選択は、現代アナログサウンドの特長とも言える“鮮鋭な描写”に意識を置いたものです。MCトランス受けを回避したのも実はそこに理由があります。「在りしの記憶とも異なるアナログサウンドで、この作品を愛聴されるLP派なファンの方々にも“今”をお楽しみいただこう」、そんな「ささやかなおもてなし」が伝わっていましたら嬉しく存じます。
▼マルチフォーマットによるデジタルリイシューのそれぞれを同一条件で聴き比べるために
条件に対して多角的に配慮をしなければならなかったのが、このデジタル再生系の構成でした。今回のリリースイベントでアピールする計画のデジタルメディアは複数種に渡っていて、それらをマトリックス状に音質比較する環境をまずは構築せねばなりません。具体的には、物理メディアのSACD/CDハイブリット盤、PCMハイレゾダウンロードファイル、そして昨今世間で最もポピュラーなストリーミング配信音源です。特にストリーミング配信は、ロスレス配信とハイレゾ配信の二種に分岐します。
表現を変えると、これらを等条件で比較試聴せねばならないわけです。そこで、デジタル系の要となるD/AコンバーターはSOULNOTE S-3 Ver.2 Referenceに集約の上、一任することにしました。国産SACD/CDプレーヤーの中で屈指の存在でありつつ、単体D/Aコンバーターとしての実力も折り紙付き。リファレンスの位置づけに相応しい選択だったかと思うのです。
次いで工夫すべきポイントは、ファイル再生とストリーミング再生に対するハードウェア的なケアとなります。この点はS-3 Ver.2 Referenceの前段にSOULNOTE B-3を配置することによって、USBによるデジタル入力への効果的なケアを行うこととしました。B-3の役割を大雑把に説明しますと“セパレートUSBDAC化”のキーデバイスで、D/Aコンバーターを内包する筐体から(USB入力のような)非同期部分を分離することによって各々が性質の異なる業務に専念させんとする思考です。“USB-ZERO LINK Bridge”と称されるB-3とS-3 Ver.2 Reference間のデジタルインターフェイスは、(SOULNOTEのアイデアによる)ZEROLINKで結線されます。
▼非物理メディアのデジタルソースはオーディオグレードのPCによる送り出しで
PCMハイレゾダウンロードファイルとストリーミング配信音源のレンダリングには、弊社のオーディオPC Canarino Fils9を利用しています。ベースユニットに加えて、Canarino DC Power Supplyを2台利用するツイン電源仕様へ、またNICにはJCAT NET CARD XEを載せ、オプションによるカスタムを施しました。また全面アルミ製のPCケースの直下にはMISTRAL EVA for canarinoFils9を敷くことで、PC系統のEMI対策にも万全を期しています。
再生アプリは、ハイレゾファイル用にTuneBrowser、ストリーミング配信用にSpotifyとQobuzの純正アプリを使いました。いずれもフリー版です。この出力APIについては、TuneBrowserとQobuz純正アプリはASIO、SpotifyはWASAPI共有(排他機能はこのとき未実装・OSのSRC設定は対処済)とし、SOULNOTEのUAC2.0ドライバを介してUSBによるパケットストリームでB-3へとデータを送り込んでいます。なお、使いこなしの鍵となる再生アプリ側の詳細設定やUAC2.0ドライバのバッファについては、経験則と聴感の双方を元にパラメータチューニングを施しました。
ストリーミング配信系の伝送経路は、光ファイバーによるL2スイッチのカスケード接続によってLAN内を非オーディオ用PCエリアとオーディオ用PCエリアに分け、且つ電気的に分離させています。そして、オーディオPCエリアの集約スイッチとして配置されたDELA S100/2からは、PC本体のJCAT NET CARD XEに対してUTPケーブルで配線しています。
さて、昨今オーディオマニア界隈でストリーミング配信向の機材となると、とかく話題にのぼるがストリーマーです。弊社の業界的な立ち位置をご存じの方からしますと「なぜストリーマーを使わなかったのか?」と疑問を持たれるかもしれませんので、この点に軽く触れておきたいと思います。この度のリリースイベントにご参加の皆さまを見ますと“非オーディオマニア層に当たる一般の方”がその過半数を占めますので、ストリーミング配信の環境構築については(初期導入に負担のかからない)簡単な準備で整う姿をお示ししたかったことが、PCベースでフロントエンドを組んだ理由の筆頭に挙げられます。言い換えると、(配信ベンダー純正アプリを利用する)最もベーシックで理解しやすい構成でありつつも、ハードウェアを主体にしたオーディオ的配慮によりサウンドクオリティの著しい向上が見込める事実をご提示したかった、というわけです。オーディオマニアのホットトピックを必ずしもなぞっているわけでは無いので、マニア向けの高額シェアウェアやAoIPのような特殊なデータ伝送を採用しなかった点もこの志向に基づく判断です。
▼このSACD/CDハイブリット盤のSACDレイヤーをDSDファイル化することにより、ダウンロードでの展開を検討してみてはどうか
楽器のセパレーションと音の立ち上がりに秀でるPCM24bit/192kHz音源のサウンド。対して、フルオーケストラのエネルギーを強い押し出しで楽しめるSACDレイヤーのサウンド。同じマスタリングであるにもかかわらず生じた音調の差異は、(生成の経緯からしても)フォーマット起因との解釈が成り立つ「オーディオ的にも好ましい試聴音源」でした。当日のお客様のお好みも、過去の例に漏れずPCM支持とSACD (DSD)支持に二分されています。
個人的に思うところ、PCMの音調と明らかに異なるSACDレイヤーによるこの作品の音調、昨今の音源流通の状況からしますと大変貴重に感じています。また近ごろのDSD音源はPyramixベースのものが目立つ中、この音源はアナログマスターを元にしてEMMLabのA/Dコンバーターを経由し、SADiEで生成された点にも特徴があって興味をそそるポイントになろうと思うです。ご承知のとおり、SACDレイヤーをファイル化するとメディアレスのDSD音源になるわけですから、オーディオマニア向けのプレミアム音源としてこれをダウンロード展開してもらえないものか率直に願うところです。
光学ディスク対応のオーディオヴィジュアル機器の存在が極めて薄くなりゆく今、特にSACDプレーヤーはキーデバイス調達の問題から市場を賑わすほどの新規開発が困難になりつつあるそうです。また辛うじて存在する製品群をしても、ラインナップの維持や価格のインフレ化という懸案に相対するわけです。それらを踏まえ、DSDファイルでのメディアレス再生は、既にハード・アプリ両面での対応が進んでいる点からしてもその代替案として最も現実的な選択肢。愛聴者の拡大を視野に、魅力的なコンテンツの拡充こそむしろ望まれます。オーディオ界隈の事情を見据えるならば、そう申し上げることにさしたる違和感など無いように思うのです。(ちなみに今回使用したSACDプレーヤーもすでに生産完了で、この後継機すら現状存在しません)
視点を変えましょう。Qobuzの上陸でPCMハイレゾによるハイクオリティストリーミング配信は日本のオーディオマニアにとってより身近になったわけです。が、DSDの特性からこれを直接ストリーミング配信で展開するのは(できないことはないのだけど)結構なハードルが存在しています。対してダウンロードファイルでの扱いなればこそ、(これまで同様)容易に展開できる流通手段となりましょう。サブスクリプションによるストリーミング配信とダウンロードファイルによる展開において、双方のサービスや商品の持ち味をより際立たせる策にもならないだろうか。そのように感じています。
サウンドのバリエーションが増えることは、音楽流通の世界にとってもオーディオの世界にとっても華やかさと彩りを与える効果をもたらすことでしょう。叶わぬ願いであることは重々承知の上で、オーディオにまつわる分野の企画運営を担当した者として一筆させていただきます。
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